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数は抽象化された記号

1.はじめに

  私たちは数を普段の生活の中で何気なく使っていますが、数とは何かと聞かれると少し考えてしまいます。りんごが三つある、テストで10番だった、服が2万円だった、前から3つ目のケーキなど、ごく自然に数量や順序を表す時に使っています。

  では子ども達はどのように数を理解しているのでしょうか。私たちは幼児期を経験しましたが、なるほどこれが数か、などと思ったことのある人は少ないでしょう。いつのまにか分かっていたという人がほとんどで、どのようにして理解していったかと聞かれてもよく分からないのが普通です。

  しかし同時に難しい方程式にこの世の物ではないような不思議さを感じたこともあるのではないでしょうか。アインシュタインの相対性理論を私たちのほとんどがまったく分からないように、私たちが分かる簡単な数が分からない子ども達がいます。分からない子ども達に分かってもらうためには、まず始めに、私たちが彼らの理解の仕方を理解する必要があります。

2.数はコミュニケーションのために

   数は記号です。これは言葉と同じように、人間が自分以外の人間に何かを伝えるための手段として考え出したものです。つまりコミュニケーションをとる一つの手段ということです。

  人が生活するところには、たくさんの物があります。一つではありません。そしてその物を使う時にその量を人に伝える必要がでてきました。自分が飼っている羊が盗まれたら分かるように数えておくとか、物々交換の時に芋の数を数えるとか、いろいろあったでしょう。はじめは1,2くらいの数でしたが、だんだん多くなり、数を数えるための記号(数詞)が発達していきました。私たちが主に使っているのは十進法ですが、歴史的に見るとたくさんの数え方があるようです。時計がそうですし、英語やフランス語の数え方にも見受けられます。その話は別の機会にするとして、とにかく数は人に量や順序を伝えるために生まれてきたものなのです。

3.数は高度に抽象化された記号

  3はなに?と考えてみると、随分とたくさんの3があることに気がつきます。りんごが三つあると3、三人いれば3、ボールが三つあっても3、指を三本だしても3です。とにかく何か固体のようになっていて数えられれば数として認識することができます。

  それでは幼児はこれをどのようにして理解するのでしょうか。りんごを指差してりんごということもあれば、それぞれを指して、「いち、に、さん」ということもあるのです。幼児は「これはりんごで、いちじゃない」と思っているかもしれません。しかし同じような経験を積んでいくうちに、いくつかあると「いち、に、さん」と言うことができるのだということに気づきます。そしてそれが同じ量のときには人が同じように数えているところを見て、量的な概念をおぼろげながら理解していくのです。

  ところがある日、お母さんが色違いのボールを「いち、に、さん」と数えます。「これは違うものなのになぜ数えるの」と幼児は思うでしょう。幼児にとって色が違うということは同じ物ではないのです。また別の日に、お母さんが袋の中に入っているいろいろなおもちゃを「いち、に、さん」と数えています。「なんで違うものが数えられるんだー!」と幼児は思います。このようなことをたくさん経験するうちに、大きさや色が違っても、物自体が違っても、数え方には影響がないということに気づきます。これが分かるとかなり数については分かってきたことになります。

  ところがある日、お母さんがお皿を指差して「三枚あるわ」といいます。「え?これは、いち、に、さんよ」と幼児は思います。なぜ最後の数だけを言うのでしょう。幼児は混乱してしまいました。でも別の日に、「えーっと、お皿が、いち、に、さん、全部で三枚だわ」という言葉を聞いて、全体の量を表すには最後の数を言えばいいのだなということに幼児は気づきます。

  幼児は、概念は分かってきましたが、大人の言葉の分かり難さに気分を害します。なぜお菓子を「さん」といわずに「みっつ」と言うの?なぜさっき「みっつ」と言ったのに、今度は「さんこ」と言うの?なぜ犬を「さんびき」と言うの?なぜ折り紙を「さんまい」と言うの?なぜ物によって数え方が違うの?お菓子を指差しただけで「おかし」「さん」「みっつ」「さんこ」と言うなんて、大人はずいぶんと複雑なことが好きなんだなあと幼児はあきれ返ります。でもまあいいや、と気楽に考えてくれます。このあたりで幼児は助数詞というものがあることに気づき始めます。

  おおらかな気持ちになった幼児の気持ちを逆なでするように、今度はお母さんが「あなたはさんばんめよ」と言います。「え?私の名前はゆきよ。さんばんめじゃないわ」と幼児は思いました。でも少ししてそれが順番を表していたのだということが分かりました。

  さて、私たちは花を見て「チューリップ」という名前で呼ぶのと同程度に、「3」という数を簡単なものとしてとらえることができます。しかしここまで数の話をしてくれば、数が如何に高度に抽象化された記号であるかを理解していただけることと思います。幼児の認知、理解の手順が上記のようになるとばかりはいえませんが、数の理解が多くのコミュニケーションを通して得られるのだということはご理解いただけたのではないでしょうか。また同時に数の理解は同じようなプリントを繰り返していたのでは、大した効果は期待できないということも分かっていただけたはずです。

4.家庭での指導の仕方

  数に困難を感じる子どもの認知、理解の仕方は特徴があるものの、理解するまでの基本的な流れはほとんどの子どもに共通です。しかし何もしなくても理解する子どもとは違い、理解するまでに細かいステップを踏むことや意図的に頻度を増やしてあげることが必要です。数に困難を感じる子どもの多くは数の概念が確立する前に、加減乗除に入ってしまい、そのまま足し算のできない大人になってしまうのです。ですから一桁の足し算ができない子は数の概念がまだ十分に確立していないと思って間違いありません。

指導上で最も大切なことは、コミュニケーションの中で伝えることです。

「○○ちゃん、お菓子よ。はい三つ。」

「コップを3つだして。」

「3頭目の馬は白いね。」

「さあ、3人で出かけましょう。」

「このお皿のエビは、ひとり2つずつ食べてね。」

「猫が5匹もいるね。」

「6つあるから、二人に3つずつあげる。」

 このような声掛けをたくさんしてあげましょう。始めに「これはいくつあるの」というような質問をすると、試されているような気がして答えたがらなかったり、答えたけれども間違えていやな思いをすることもありますから、できるだけ普通の会話の中に多くの数字を入れるところから始めてください。

  数はコミュニケーションをとるために生まれてきた記号です。数を教える時はコミュニケーションの中で教えましょう。しかも頻度が高くなくてはなりません。ご家庭では幼児期に十分な指導をしてこられたと思います。しかし数に困難を感じる子どもは、困難を感じない子どもの何倍もの頻度が必要であり、まだ十分ではないのです。

  学校の進度を最優先してはいけません。段階を飛び越すと、後ですべてをやり直すというたいへんな作業が必要になります。しかも子どもの理解や精神状態に悪影響をおよぼします。

  「数の理解はコミュニケーションを通して」ということが、今の教育で忘れられている最も重要なことなのです。

 

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