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コミュニケーションを通した数の理解

1.数はコミュニケーションによって

  「数」というと学校で習うことのように思えますが、実際には就学前に身近な人とのコミュニケーションによってほとんど理解しています。数は絶対的で人の意図とは関係ないように思えますが、数こそ意図を伝えるコミュニケーションによって学ぶことができるものであり、コミュニケーションがなければ理解できないものなのです。

2.数のお話

   本当にあった話かどうかはわかりませんが、一つの数にまつわるお話をしましょう。

  むかしむかし、ドイツに探検家のルタンという人がいました。ルタンはアフリカの奥地でサンスー族に出会いました。ルタンはサンスー族と言葉は通じないし生活習慣も違っていて何を考えているのか分からないので、不安でなりません。サンスー族が歓迎の準備で火を燃やし、料理の準備を始めた時も、ルタンは自分がいけにえにされるのではないかと不安でパニックになりそうでした。

  翌日サンスー族はルタンの前にくだものを3つ置き、「あー、いー、うー」と言いました。

  ルタンは「3つともりんごに似ているのでそれぞれの名前ではなさそうだが、何を意味しているのか分からない」と思い、黙っていました。するとサンスー族はもう一度「あー、いー、うー」と言いました。ルタンは自分にも言えと言っているのではないかと思い、とりあえずオウム返しに「あー、いー、うー」と言いました。すると、サンスー族は安心したような表情になりました。

ルタンは「あー、いー、うー」の意味が知りたくなり「あーは1、いーは2、うーは3かもしれないと思い、2つとって「いー」と言ってみると、サンスー族はさっきと同じように3つを置いて「あー、いー、うー」と繰り返しました。

  それから数日後、人がたくさん集まってきて、ルタンの前にたくさんのりんごのようなくだものが置かれました。まさかくだものの数だけ何度も「あー、いー、うー」と言わされるんじゃないだろうなとパニックになりそうになりましたが、どうしようもなくそこに座っていると、ひとりの人が来てくだものを3つ手にとって何か分からない言葉でルタンに話しかけました。ルタンはさっぱり分からないので、とりあえず「あー、いー、うー」と言ってみると、その人はサンスー族が使っているお金を置いてくだものを持って行ってしまいました。

 その時初めてルタンは自分が果物屋の店番をやらされていて「あー、いー、うー」がくだもの3つの金額を意味しているのだということに気づきました。

3.子どもは教える前に数の意味を理解している

   一般的に数を子ども達に教える時はどうやって教えているでしょうか。物をいくつか置いて数字を言うかプリントにいくつかの物がかいてあるのを数えて数字に置き換えるというようなことをします。実を言うとこれはすでにコミュニケーションを通して数の意味を理解している子どもに対する教育方法なのです。

  ルタンさんが体験したことを思い出してください。目の前にくだものを置かれて「あー、いー、うー」と言われても何のことか分かりませんでしたね。幼児の目の前にりんごを3つ置いて「さん」と言うとひょっとして「さん」という名前のくだものかと思うかもしれません。または単に「さん」と言えといっていると思うかもしれません。数字のカードで理解する子どももいると反論する人がいるかもしれませんが、カードだけで理解しているのではなく、普段のコミュニケーションと複合して理解しているのです。

  ルタンさんにしても自分なりに理解しようとして返事をしてみても、意味が理解できるコミュニケーションなしでは分かりません。何度教えられてもオウム返しが精一杯でした。そして「あー、いー、うー」という言葉にお金が出されて初めて金額であることに気づきました。

 3という数を教える時は、今使おうとしている3がどのような意味を持っているのかを理解できるようなコミュニケーションを通して教えなければなりません。物を指して3と言っているだけでは何も伝わりません。「何個ほしい?」と聞いて答えが返ってこなくても「それではいっこね」といって1こ渡し、もっとほしそうであれば「それではさんこね」といって3こ渡すというコミュニケーションをとってみます。これだけで数が分かる子はいませんが、このようなコミュニケーションを繰り返すことで、量的に欲求不満が強い時に聞く数と満足する時に聞く数の比較で数に対する多い少ないの感覚が習得されたり、視覚的な量と数字が結びついたりして数の概念が形成されていきます。数回で形成されるのではなく、何百回、何千回という体験によって形成されていくのです。

  数字は絶対的なものではなく、意図を伝達するために作られた記号の一種です。物が3つあると3ということが絶対的なことのように思えますが、実際は3つあるものを交換するとか、自分の物が3つであるとか、3つ目の柱の所までが自分の家だというようなことを伝えるための道具として使われ始めたのです。

4.プリントの分かりにくさ

  このような視点からするとプリントは子どもにとってとても分かり難いものです。幼児用に作られた教材を見てください。いくつありますかという質問のページを見ると、りんごの木の枝にりんごが2つなっている絵が描かれています。しかしよく見ると木には葉っぱが5枚あるし、木の下には石ころが4つ描いてあります。大人が見れば誰が見てもりんごの数を聞いていると思うでしょうが、ここには出題者の意図を理解するというコミュニケーションが存在し、こういう場合はりんごの数を聞いているんだなと思える他者の視点からの推測が必要となります。プリントを解く技術であって慣れればできるとも言えますが、普段のコミュニケーションの力が基礎となることは間違いありません。幼児用教材は保護者がついて指導することが前提となっていますので指示してあげればいいのですが、遅れたまま小学校に上がる障害児の場合は苦しい立場に置かれます。

5.コミュニケーションを使って教える

  数を教える時の環境で最も大切なことは、プリントを揃えることではなく、数が理解できるコミュニケーションを使って教えることです。あめをあげる時に「はい、2つね」と言ったり、階段を数えながらのぼったり、ラーメンを作って「3分待ってね」といって待たせたり、「お皿を2枚とって」と頼んだり、とにかく数を感じることができるコミュニケーションの中で数字を使って話してください。

 勉強は、そのようにして習得された数の概念や感覚を系統立てて理解し応用して使えるようにしていくものとして位置づけられます。当塾での勉強は数の概念や感覚の形成まで視野に入れて考えてありますが、しかし基本はコミュニケーションを通してということなのです。

 コミュニケーション力が高くなればそれだけ数の理解力も高くなります。なぜなら数はコミュニケーションを通して理解しているのですから。

6.障害児の指導

  障害児の場合は幼児期に十分にコミュニケーションが取れなかった可能性が高いのです。それは自閉症のように人とのコミュニケーションに障害があったのかもしれませんし、病気によって意識がはっきりしていなかったのかもしれません。いずれにしても親からのコミュニケーションに問題がなかったとしても、子ども側の受取る力が欠けていたことは事実でしょう。そのことは、就学後に顕在化しますが、学校では、数を理解するコミュニケーションなしで、単に問題として取り組みますから、障害児はいつになってもできるようになりません。幼児期にとどまったままになっているのです。

  私たちは、幼児期に必要としていた学習ステップを今から補充する役割を担わなければなりません。幼児期よりももう少し効率的にできるはずです。

  家でもコミュニケーションの中に数字を盛り込んでください。1ヶ月くらいで「なかなか進歩しない」なんて思わないでください。幼児が3年で習得したものを1年かけてやるんだと思ってください。

 数の概念や感覚を指導するステップがすべての生徒に共通したステップではありませんが、数はコミュニケーションを通して理解されるということは全員に共通しています。

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