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数はコミュニケーションを通して理解されます。それと同時に、誤解されるのもコミュニケーションを通して行われます。
例をお話ししましょう。左手におはじきを3つ、右手に2つ持ち、生徒の前に座ります。左手を出して「いくつありますか」と聞くと、「3」という答えが返ってきます。次に右手を出して「いくつありますか」と聞きます。さて皆さんはいくつと答えますか。生徒の答えは半々で、一つの答えは「2」もう一つは「5」です。左手を出したままですと見える数が右手の2と左手の3ですから合わせて「5」と判断することができますし、右手が差し出されたのでそれが質問だと判断して「2」と答えることもできるからです。
どちらが正解かといえば、それは質問した人がどちらを聞いているかということになります。教科書や問題集などで同類の問題があれば通常「2」が正解ですが、それは編集者がそのような思考回路をしているからです。
私たちが気をつけなければならないのは、誤解のないようなコミュニケーションを取らなければならないということです。答えを「2」とするなら、左手を出して、「いくつありますか」と聞き、左手を閉じて生徒に見えないようにして手前に引きます。その後で右手を出して「いくつありますか」と聞けば、ほぼ間違いなく「2」という答えは返ってきます。
このことに気づかないと、生徒はたいへんな思いをさせられることになります。左手におはじきを3つ、右手に2つ持ち、生徒の前に座ります。左手を出して「いくつありますか」と聞き、「3」と答えさせ、左手を出したまま右手を出して「いくつありますか」と聞きます。生徒が「5」と答えた場合、質問の仕方に疑問をいだかない質問者は「どうして5なの?2でしょ。よく見て!」と言い、次の問題に行ってしまいます。生徒は苦痛にゆがんだ顔をして途方に暮れます。そして今度は左手におはじきを5つ持ち、左手を生徒の前に出して「いくつありますか」と聞きます。生徒はさっき5つあるのを2と言われたので「2」と答えます。質問者は「何を言ってるの。いくつあるの、数えてごらん。1,2,3,4,5、ほら5でしょ、よく見て」と言います。生徒は大混乱し、数字を嫌いになります。
難しいなと思われた方もいらっしゃるでしょうが、私は数の指導に専門技術が必要だと言うつもりはありません。前回「同意」についてお話しましたが、生徒が間違えた場合や顔が苦痛にゆがんだ場合、または行動が逃避している場合は、同意していないということであり、正しく伝わっていないということに気づかないといけないということです。「この子は根気がない」とか「やる気がない」とか「何度教えても分からない」という判断は間違いです。同意できていないと判断し、同意できる指示を模索するのが正しい行動です。
当塾が他の教室と一線を画しているのがこの視点です。みなさんもぜひこの視点を持って子どもを見て下さい。子ども達は「なるほど」とうならせてくれるような楽しい答えをしてくれていることに気づき、教えることが楽しくなってきます。
子どもにばかり合わせていたらプリントで答えられないのではないかと考える方もいらっしゃるでしょう。プリントには、このような質問がでた時はこう答えるという答え方があって、それができるようになるのはパターンを認識することですから、正しく理解した後にプリントを何枚もやればできるようになります。
今までの話をより理解していただくために、不十分なコミュニケーションによる間違いの例をいくつかお話ししておきます。
ある生徒に数の指導をしている時のことです。私は右手の指を2本たてて「指は何本ですか」と聞きました。するとその生徒は「5本」と答えました。私は「そうですね」と言って正解としました。これを読んでいる皆さんは2本と答えるでしょうが、右手を出して指は何本と聞かれれば、どのような形になっていようと5本が正解とも言えるからです。これは数の理解が問題ではなく、聞き手の意図を理解するというコミュニケーションの問題です。また別の見方をすると、「指は何本ですか」と聞くのではなく、「立てている指は何本ですか」と聞くなど、正しく質問するべきであるとも言えるでしょう。この時私はやり方を変更し、右手の指を2本立てて、左手で2本の指をさして、「この指は何本ですか」と聞くと、「2本」と答えてくれました。
先日はこんなことがありました。質問をして答えてもらうというコミュニケーションの練習で、私は自分の鼻を指差して、「これはなんですか」と聞くと、生徒は「先生」と答えました。確かに自分を指す時は鼻のあたりを指します。ですからよく見ているなと感心しました。でも「だれですか」ではなく「なんですか」と聞いたのですから「鼻」と答える方がより適切であるとも言えます。指で鼻をつまむような指示をすれば間違えなかったでしょう。言葉のコミュニケーションの誤解によって、鼻という形を見るべきところを人全体の形を見るという違いが生じた例です。
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